カラカルパクスタン共和国の面積は約16.5万km²。ウズベキスタン国土の37%を占めている。

独自の憲法を持ち、国旗、国章、国歌を制定しているほか、国歌語として、カラカルパク語とウズベク語を規定している。人口の約3割がチュルク系カラカルパク人で、最多はウズベク人、他にカザフ人やトゥルクメン人、ロシア人が住んでいる。

共和国の北部には縮小する湖と呼ばれるアラル海が位置し、20世紀最大と言われる環境問題を抱えている。経済は綿花、米、メロンなどの農産物の生産に支えられ、かつては盛んだったアラル海での漁業は行われていない。

首都のヌクスは、カラカルパク語でノキス(Nokis)。町の作りは広くて平面的でソ連的である。ウズベキスタンを旅行する終点又は始発点と言える。サラトフやアルマトゥからの電車が開通し、モスクワへ定期便も運航している。

ヌクスは砂漠の中の環境危機地域であるが、花や緑があるオアシスでもある。町には色々なホテルも数多い。カラカルパク料理には、ジュゲリ・グルトゥック(肉の小団子が入ったスープもの)、ジズ(羊肉の料理)、雌馬の乳から作られた酸乳の入ったスープなどがある。

ヌクスの町は、他の都市に比べると歴史はまだ75年と浅いが、賑やかである。ヌクス地下に文化層があり、紀元前4世紀~紀元4世紀に相当する物だと考古学者が明らかにした。ホラズムのオアシス研究に大きな貢献した民俗学者のI.サヴィツキーが知られている。

また共和国内には、アヤズ・カラをはじめとする遺跡が1,000ヶ所以上あると言われている。古代ホラズム文化を生み出したアムダリヤ川が、流れを変える度に人々は城を造り替えなければならかったのだ。現在、ヒヴァのイチャン・カラを含め、古代ホラズム地方の遺跡を囲む“ゴールデン・リング”の道は始まる。考古学研究、観光開発も期待される地域である。

 

カラカルパクスタン共和国の見どころ

ヌクス
ヌクス

どこの町もバザールは活気があり特徴があって面白い。各都市で観光にお勧めの場所。
この地方はあまりイスラーム色が強くないので、豚のシャシリクが大抵のところで食べられるのも日本人には魅力。タクシードライバーに言えば連れて行ってもらえる。

サヴィツキー美術館
サヴィツキー美術館

モスクワからヌクスに移り住み、研究に没頭したイーゴル・ヴァシレヴィッチ(サヴィツキー)を伝説の人物にした。彼の努力の成果で、カラカルパクスタン自治共和国国立美術館が開館した美術館は、紀元前3世紀から現代までの文化を紹介する宝庫。
芸術的なカラカルパク民族の工芸美術品。造形美術では、20世紀に中央アジアに住んでいた多民族の画家の絵画も多く展示されている。
世界の博物館に類似品がない9万点にものぼるコレクションを保管し、専門家の評価によれば、重要性や規模にかけて、ロシアのサンクト・ペテルブルグ美術館に次ぐ、世界で2番目の中央アジア地域のロシアのアバンギャルド・コレクションを有する美術館であると言われている。

B&B ジペック・ジョリ
ジペック・ジョリ

サヴィツキー美術館のすぐそばのB&B。ウズベク語では、イパク・ユリ(シルクロードの意味)。
部屋はウズベク調のインテリア。夏期は中庭のユルタにも宿泊できる。
お土産コーナーには、ヌクス伝統の刺繍の小物を置いている。そのクラフトセンターもお土産探しにお勧めの所。B&Bで問い合わせると良い。
他に、ムイナクのタクシー手配などもしてくれる。

ムイナク
ムイナク

ヌクスからムイナクまでは車で2時間半ほど。昔、漁業が栄えていた町。今は人口も減り何もないが、町の中心にアラル海の歴史を残した歴史博物館があり、見もの。盛んだったころの漁の様子や工場の様子、海に住んでいた動物の剥製など以前のアラル海を知ることができる。
入場料はないが、自然保護のための気持ちとして寄付した方が良い。

アラル海
アラル海

以前海岸線があった断崖へ行ける。記念碑が建っている所から、かつてのアラル海を見渡すことができる。
今は何もない砂漠と化しているが、絶壁の下には鉄の塊になった船が並んでいる。船の墓場と言われる場所。変化してきたアラル海のパネルも立ててあり、環境問題を考える機会になる。アラル海を見るならここから約100km荒野を進まなければならない。ここからは一切海は見えない。

カラまわり
カラまわり

1940年代にアムダリヤ川の下流に東側に、数百mに渡って点在する多数の都城跡が発見された。カラとは城塞の意味。
トプラク・カラ(1~4世紀)直角形に近い形をした8~9mの土の防壁がある。注目するのは、都市の存在時に絶え間なく増築されていた寺院。宮殿の大部分は華麗な施設や文字模様の壁の聖堂から成り立っている。
アヤズ・カラ(6~7世紀)四角い形をし、平たい丘に日が当たるように三方に高い断崖がある。土を固めて日干ししただけの焼いていない煉瓦で建てられている。
他にも、コイ・クルルガン・カラ、クワット・カラ、大グルドゥルスン、ミズダフカン(ホジャイリのギャウル・カラ)、ジャンピク・カラなど、要塞、城壁、塔などがあり、コインや装飾品、陶器などが発見されている。まだまだ解明されていないことが多い場所であるが、車をチャーターして1日“カラまわり”は、ホラズムの古代を垣間見るお勧めの観光である。

アヤズ・カラ・ユルタ
アヤズカラユルタ

山の上のアヤズ・カラが見えるところにユルタが並んでいる。ここに泊り、ラクダに乗ったり、近くのアヤズ・カラ湖で遊ぶことができる。ヒヴァからの小旅行に良い。
近くのカラめぐりをしながら、前もって予約をしておけば、昼食だけを楽しむこともできる。