タシケント/タシュケント

古代交易路の交差点

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現在のタシケントは、広場、歴史的建造物、博物館や旧市街の土塀の迷路、ポプラの並木路、暑い夏の日の噴水のしぶき…、初めて訪れた人を驚かす大都市である。

紀元前2~1世紀からタシケントは色々な、例えばシャシ・テパ、チャチ・テパという名前で出現してくる。11世紀からは「タシケント(石の町)」という名前で知られている。

古代交易路の交差点として2200年の歴史を持っている町とは、今のタシケントからは想像できないだろう。昔、ここでは土造りの家が普通であり、ミナレット(塔)がそびえ立っていた。現在は、中央アジア唯一の地下鉄が走り、新市街にホテルやビジネスセンターなどの高層ビルがそびえ建つ。そして、古代のモスクとマドラサは旧市街に今も残っている。

かつてタシケントはウズベキスタンの玄関であり、現在もウズベキスタンへの旅行は必ずタシケントから始まる。タシケント空港には、日本からは直行便でウズベキスタン航空、各都市経由でアシアナ、大韓、アエロフロート・ロシアなどが乗り入れる。日本から機上時間8~9時間でウズベキスタンの地を踏むことができる。また、CIS諸国、ニューヨークやパリ、ロンドン、ミラノ、デリー、ドバイ他を繋ぐ国際線がある。タシケント空港から、国内各地方都市(ウルゲンチ、ヌクス、ザラフシャン、ナボイ、ブハラ、カルシ、テルメズ、サマルカンド、フェルガナ、アンディジャン、ナマンガン)への国内線が発着している。また、鉄道はモスクワ、サラトフ、ノボシビルスク、アルマティなどへの国際列車があり、国内もサマルカンド、ブハラ、カルシ、ウルゲンチ、ヌクスへ運行している。

タシケントは、公共施設、通信施設、医療サービス、交通システム、大小の公園、また文化的生活を含めて住みやすい都市と言えるだろう。旅をするにも宿泊、食事、観光、アクティビティなど事欠くことはない。サマルカンド、ブハラ、ヒヴァに観光の魅力は多いが、地方へ急がずに首都タシケントの街をゆっくり散策するのもお勧めだ。

Contents

タシケントの見どころ

アミール・ティムール広場
アムールティムール広場

タシケントの中心。この公園の中央には馬に乗った偉大な司令官の姿の像が建っている。公園の周りには、真っ白に目立つフォルム(国際会議場)、ホテル・ウズベキスタン、アミール・ティムール博物館、法科大学、ふたつの時計台が建ち並ぶ。タシケント観光ルートを選択するにはここをスタートにすると良い。北、西、南の順で観光スポットを紹介する。

ティムール王朝歴史博物館
ティムール王朝歴史博物館

アミール・ティムール広場の北側、その建物は王冠形で建てられた。この博物館を見学すると、ティムールの統治時代とその子孫について様々な知識を得ることができる。シルクロードを通じてティムールの国家へ伝えられた様々な学問的資料や装飾品などが展示されている。ティムール一族を中心にウズベキスタンの歴史上の人物の偉人の資料を集めた博物館で、豪華な内装も見もの。

アライバザール
アライバザール

街の中心に近いので観光にも便利なバザール。いつも季節の果物、野菜であふれる。スパイスやナッツなどもお土産になりそうだ。値段交渉も旅の楽しみのひとつ。タシケントはバザールで有名な町。なぜなら、タシケントは古代から様々な交易路(シルクロードも含めて)の交差点であったからである。

タシケントタワー
タシケントタワー

北へ向かうと、中心からも見えるテレビ塔が近づいてくる。1985年に完成した中央アジアで一番高い建物。高さは375m、100mと200mの高さにテレビ・ラジオ放送局と測候所がある。展望室や回転するレストランがあり、タシケントの景色を一望できる。入場には要パスポート。北隣にはプロフセンターがあり、いつも賑う。南側一帯は遊園地や日本庭園などがあり、市民の憩いの場である。

 

タシケント動物園
タシケント動物園

タシケントタワーの東側の方に1924年に設立され1997年に新しい大きな現代的な動物園がある。水族館もあり、サメなども見られる。現在、哺乳類58種類、鳥74種類、爬虫類と両生類26種類、魚191種類の飼育をしている。 ここでは、シロエリハゲワシ、クロコンドル、コンドルなどの捕食鳥の飼育も専門としている。

抑圧犠牲者の博物館
抑圧犠牲者の博物館

アミール・ティムール通りを挟んで、テレビ塔の向かい側にある。川沿いの公園内にあり、散歩コースに良い。2002年にオープンしたイスラーム建築風の青いドームが美しい博物館。帝政ロシア時代とソ連時代の政策により抑圧されたウズベク人やウズベク文化の展示が見られる。

ユーヌサバッド・バザール
ユーノサバットバザール

更に北へ向かうと、右手に大きなバザールが見えてくる。中心から離れている分、値段が安い。このユーヌサバッド地区は独立後に住宅地として広がっていった。観光には少々遠いかもしれないが、ウズベキスタンの庶民の台所を覘いてみたかったらお勧めだ。この向かい側にある旧ソ連式のデパートも面白い。チャイハナやカフェも建ち並び、中心部とはひと味違う新しいタシケントが見られる。

メガ・プラネット
メガプラネット

ユーヌサバッド・バザールからすぐ傍に見える大きなショッピングセンター。2010年にオープンしたメガ・プラネット。1階はスーパーマーケットで、値段は高めだが品揃えは豊富。日本のスナック菓子なども売っている。2階はブティック、3階はゲームセンター、4階は映画館とフードコート。ファストフードから寿司コーナーまで色々楽しめる。Wi-Fiゾーンがあって便利。

ブロードウェイ
ブロードウェイ

ティムール広場の西側には、1917年にロシア臨時政府の首班であったアレクサンダー・ケレンスキーが、最優秀の成績で卒業したという19世紀の学校(現在の法科大学)の建物がある。その間がサイールゴフ通り。タシケントのブロードウェイと呼ばれ、現地の画家が描いた絵、骨董品や伝統工芸品などを売っている。公園も綺麗で散歩がてら、お土産探しに良いコース。

ナボイ・オペラ・バレエ劇場
ナボイオペラバレエ劇場

1947年に完成の1500名収容の劇場。この劇場の建設には、日本人も携わった事は有名である。第二次世界大戦後、1945~1946年にかけてタシケントに抑留された数百名の旧日本兵が参加した。強制労働にも関わらず、こうした見事な建物を造り上げたことは伝説になっている。 前庭には大きな噴水があり、夏は市民の憩いの場である。

ツム百貨店
ツム百貨店

ウズベキスタン通りを挟んでナボイ劇場のすぐ隣。近代的なスーパーマーケットが増える中、今もなおタシケントを代表するデパートで、生活に必要な物はだいたい揃う。値段も比較的安いので、お土産を探すのにも便利である。ツム百貨店の前はバスターミナルになっていて、ここから市内の色々な場所へ行ける。

ウズベキスタン国立歴史博物館
ウズベキスタン国立歴史博物館

石器時代から現在までの中央アジア文明の発展が展示されている。ウズベキスタン通史をざっと学ぶには最適の博物館。その中にはスルハンダリヤ州で発掘された見事なガンダーラの仏像(1世紀)やブロンズでできた動物の小像で飾られたサクソンの大釜(紀元前5~4世紀)など世界的に有名な展示品も多い。古代のままの形を残している陶器や布など、25万点以上の展示品がある。

迎賓館
迎賓館

サイールゴフ通りの突き当たりに皇帝ニコライ2世の親戚であったニコライ・コンスタンティノビチ・ロマノフ大公の旧公邸がある。大公の趣味は芸術作品収集。その作品のためにタシケントの中心に美しい公邸が建てられた。革命と大公の死後、その公邸は美術館になったが、現在はウズベキスタン共和国外務省の歓迎レセプション館になっている。ソ連式建築が多い中、目立つ建物である。

ムスタキリク(独立)広場
ムスタキリク広場

ティムール広場から西へ進むと見えてくる、コウノトリを配した大きなゲートと子供を抱いた母の像が見えてくる。独立広場である。左には国会議事堂や政府の建物が並び、右へ行くと第二次世界大戦の戦没者記念碑へ行ける。そこにも戦争へ行った我が子を思う母の像が平和の火を見つめている。

アブドゥール・ハシム・マドラサ
アブドゥールハシムマドラサ

更に西方面へ向かうと、新市街の外れに建つ19世紀の神学校がある。現在は修復され、中の部屋は職人の工房になっている。そこで、ウズベキスタンの工芸品が安く買える。 美しい細密画の小物や、一枚板から作られる複雑な構造のコーラン台、他にも陶器、鋼細工など、お土産を揃えるのに便利なだけでなく、見るだけでも楽しくなる。

チョルスー・バザール
チョルスーバザール

アブドゥール・ハシム・マドラサから北へ向かうと旧市街。オールドバザールのチョルスー・バザールがある。シンボルの青いドームの中は、乳製品やドライフルーツ、ナッツ類、蜂蜜などが売られ、外では季節の果物、野菜が売られている。地下鉄チョルスー駅の階段を上がると、バザールという便利さもあり、タシケント観光にはお勧めの場所。

クカルダシュ・マドラサとジュマ・モスク
クカルダシュマドラサとジュマモスク

チョルスー・バザールの傍に16世紀に建てられた歴史的建造物であるクカルダシュ・マドラサがある。独立後に修復され、再び神学校として活動している。マドラサの隣の丘には15世紀に建てられたジュマ(金曜)・モスクがある。金曜日の1時頃に行くと大規模な礼拝が行われているのを見ることができる。

ザイカイナル
ザイカルナル

旧市街地に目立つ建物。地下はスーパーマーケット、1、2階はブティックやお土産物屋、レストランが入っている。工芸品の展示会やファッションショーなど様々なイベントも行われる。旧市街観光のひと休みに良い。ここからチョルスー・バザールまで、迷路のような旧市街を散歩するのは、古いタシケントの町を覘けるチャンス。

ハズラティ・イマム広場
ハズラティイマム広場

ここには16世紀に建設されたバラクハン・マドラサと、ティラ・シェイフモスク、聖人アブ・バクル・カファリ・シャーシ廟、イマーム・アリ・ブホリ・イスラーム大学がある。また、東洋古文書図書館もあり、ティムールがダマスカスから持ち帰ったという7世紀半ばに書かれた世界最古のオスマン・カリフのコーランが大切に保管されている。

時計台
時計台

ティムール広場から南側を見ると、目の前に町のシンボルである時計台がふたつあり、15分ごとに鳴る時計の鐘の音は遠くまで響く。右の時計台が1947年に完成した物。アイゼンシテインという有名な時計技師が戦後にドイツから音で時間を知らせる仕掛け技術を持ち帰った。その後2009年に改築されるとともに、その左隣に同じ形をした時計台が造られた。

ウズベキスタン国立美術館
ウズベキスタン国立美術館

時計台の隣のタシケント市役所の前を進むと美術館がある。ウズベク、東洋諸国、ロシアと西ヨーロッパの美術品が5万点以上。15~19世紀初頭のロシア美術のコレクションによってロシア古典派の発展について知ることができる。西ヨーロッパはイタリア、スペイン、ドイツ、オランダ、フランドル、フランス、イギリス。東洋諸国は中国、日本、インド、イランの展示品が集められている。

ウズベキスタン工芸美術館
ウズベキスタン工芸美術館

19世紀前半の民芸品が7千点以上展示され、陶芸品、ガラス製や磁器製の皿、民族衣装、絨毯、スザニ、木彫品、細密画、宝飾品などが見られる。展示品だけでなく、装飾芸術の傑作であるその建物自体も美しい。この建物は、中央アジアを担当したロシアのポロフツェブ公使の私邸であったが、19世紀末にウズベク各地から集められた職人達によって、イスラーム宮殿のように装飾された。

ミラバッド・バザール
ミラバットバザール

大きな青い屋根が目印。その下にたくさんの店が入り季節の野菜や果物を始めとする食材が売られている。その周りを取り囲む建物には、日用品の店や食堂などがある。近くには韓国バザールもあり、豚肉や韓国製の味噌、醤油、スナック菓子やインスタントラーメンなど日本が懐かしくなるような物を購入できる。

タシケント鉄道博物館
タシケント鉄道博物館

タシケント駅の北側にある野外博物館。前世紀初期の機関車、色々な世代のディーゼル機関車や電気機関車、客車、リフティング・クレーン車など56点が展示されている。ソ連で製造された中で一番高出力の「ポベダ(勝利)」と呼ばれ、出力3500馬力、時速125km/hの機関車も展示されている。映画の撮影に使われた有名な機関車もあり、鉄道マニアの方にお勧めだ。

日本人墓地・資料館
日本人墓地・資料館

町の南西のムスリム墓地の一画に、第二次世界大戦後ソ連に抑留され強制労働の末、この地で亡くなられた79名の日本人が眠っている。この他にも全国各地にお墓があり、その様子は資料館で知ることができる。大通りから墓地へ行く途中に日本人抑留者に関する展示品が集められた資料館がある。当時の写真や日記などから日本人の苦労が偲ばれる。

タシケント郊外
タシケント郊外

町から80km北東にあるチャルヴァック貯水湖の周辺は市民の行楽地で、別荘やサナトリウムがある。夏には避暑地として湖で湖水浴、マリンスポーツも楽しめる。冬にはチムガンでウインタースポーツもできる。チムガンにはリフトがあり、山頂付近まで登ることができる。美しい山々が一望でき、すばらしい。